平均取得単価とは? その意味と変動する仕組み
平均取得単価は、ポートフォリオで最もよく目にする数値でありながら、十分には理解されていない数値の一つです。定義は、支払った総額を、保有している株数で割ったものという一文で済みます。ところが、実際の取引で手数料、一部売却、計算方法の選択が絡むと、その動きに一度は驚く人がほとんどです。
基本的な仕組み
10株を$100で購入し、さらに10株を$120で購入すると、20株の取得総額は$2,200になり、平均取得単価は**$110**です。これは加重平均なので、株数の多い取引の価格に近づきます。2回目の購入を30株にすると平均取得単価は$115となり、$100から$120までの幅の4分の3の位置に来ます。
実際の計算では、次の二つが大切です。
- 手数料は取得額に含めます。 購入ごとに$5の手数料がかかると、この2回の購入で20株を取得する総額は$2,210、平均取得単価は**$110.50**になります。1回の取引では小さな金額でも、取引を重ねる間に継続して積み上がります(その実証研究は取引コストの記事で紹介しています)。
- 同じ金額ずつ買う場合と、同じ株数ずつ買う場合では平均が異なります。 $100と$120で同額ずつ購入すると、平均取得単価は$109.09になり、中間値の$110を下回ります。同じ金額であれば、安い株をより多く買えるからです。ドルコスト平均法に関する文献で調和平均が取り上げられるのは、このためです。
平均取得単価計算機は、どのような購入ロットの組み合わせにも対応します。また、今日の株価で何株買えば目標の平均取得単価になるか、という逆方向の問いにも答えます。この逆算式は、目標値が株価に近づくにつれて発散します。(株価が下がったときにそれがなぜ問題になるのかは、別の記事で解説しています。)
売却するとどうなるか — 計算方法による違い
ここで計算方法による違いが現れます。このサイトの計算機は、取引順に適用する平均原価法を使っています。売却時には、その時点の平均取得単価で株数を減らし、売却価格との差額を実現損益とします。平均取得単価$110で保有する20株のうち5株を$130で売ると、5 × ($130 − $110) = $100の利益が実現し、残る15株の平均取得単価は$110のままです。平均原価法では、売却しても残りの株の平均取得単価は変わりません。変わるのは購入したときだけです。
取得ロットを区別する方法では、答えが異なります。FIFO(先入先出法)なら、同じ売却でも取得単価$100の株を売却したとみなすため、実現利益は$150、残る株の平均取得単価は$113.33になります。売却する取得ロットを個別に指定する方法なら、代わりに$120の株を売却し、利益を$50実現させ、残りの平均取得単価を$107.50へ下げることもできます。同じ取引に対して実現利益も残りの平均取得単価も3通りあり、計算上はいずれも正しいのです。
税務上どの方法が適用されるかは、管轄地域の制度、証券会社の標準設定、そして認められている選択によって異なります。証券会社では一般に、ファンドには平均原価、株式にはFIFOを使って報告しますが、こうした条件を計算機が推測すべきではありません。このサイトでは、取引順に適用する平均原価法を使うことを明示し、途中の数値もすべて表示します。証券会社がどの方法で報告していても、照合できるようにするためです。
なぜこれほど強い判断の基準になるのか
平均取得単価には実用的な役割があります。損益分岐株価の計算に必要ですし、売却手数料を含めれば損益分岐株価は平均取得単価より少し高くなります。また、ポジション計算機で総損益を実現損益と評価損益に分ける基準にもなります。一方、平均取得単価は将来を示す情報ではありません。市場はあなたの平均取得単価を知りませんし、気にもかけません。それでも行動研究では、購入価格が強い参照点となり、人々がいつ売るかに、測定可能で一貫した影響を与えることが示されています。その実証結果はディスポジション効果の記事で紹介しています。平均取得単価を動かすものと、平均取得単価からは分からないものを正確に理解することが、この影響への備えになります。